賃貸等不動産リスト

JR各社の賃貸等不動産状況

日本の大動脈である鉄道を全国各地に展開しているのが、旧国鉄のJR各社です。
JR各社は各社が所有する社有地を有効活用しようと事業の展開を加速させています。

「JR 東日本不動産株式会社」の設立について - 東日本旅客鉄道, 2024年6月4日
JR各社は国鉄を前身として1987年に設立されました。その後1993年にJR東日本が、1996年にJR西日本が、1997年にJR東海が、2016年にJR九州が上場しました。

JR東日本
JR西日本
JR東海
JR九州


今回は、上場しているJR東海を除いたJRグループ3社の有価証券報告書を過去5年間参照し、有価証券報告書に注記されている賃貸等不動産の状況について整理します。
不動産事業への注力を急ぐ各社ですが、注記からはどのような状況が垣間見えるのでしょうか。
(JR東海は賃貸等不動産の注記を開示していない)
 

東日本旅客鉄道

東日本旅客鉄道の賃貸等不動産データ (単位: 円)
帳簿価額 時価・公正価値 含み益 賃貸損益 純資産 含み益対純資産 (%) 経常利益 賃貸損益対経常利益(%)
2020 3 736,467,000,000 2,285,277,000,000 1,548,810,000,000 76,986,000,000 3,173,427,000,000 48.81% 339,525,000,000 22.67%
2021 3 854,254,000,000 2,404,297,000,000 1,550,043,000,000 44,551,000,000 2,557,361,000,000 60.61% -579,798,000,000 -
2022 3 854,886,000,000 2,433,278,000,000 1,578,392,000,000 67,431,000,000 2,418,110,000,000 65.27% -179,501,000,000 -
2023 3 851,336,000,000 2,438,027,000,000 1,586,691,000,000 69,018,000,000 2,497,713,000,000 63.53% 110,910,000,000 62.23%
2024 3 875,323,000,000 2,498,551,000,000 1,623,228,000,000 69,591,000,000 2,739,232,000,000 59.26% 296,631,000,000 23.46%

西日本旅客鉄道

西日本旅客鉄道の賃貸等不動産データ (単位: 円)
帳簿価額 時価・公正価値 含み益 賃貸損益 純資産 含み益対純資産 (%) 経常利益 賃貸損益対経常利益(%)
2020 3 352,841,000,000 723,372,000,000 370,531,000,000 47,141,000,000 1,223,106,000,000 30.29% 148,353,000,000 31.78%
2021 3 367,388,000,000 720,770,000,000 353,382,000,000 38,584,000,000 956,256,000,000 36.95% -257,330,000,000 -
2022 3 386,344,000,000 814,635,000,000 428,291,000,000 40,182,000,000 1,074,211,000,000 39.87% -121,047,000,000 -
2023 3 380,243,000,000 814,342,000,000 434,099,000,000 44,361,000,000 1,144,309,000,000 37.94% 73,619,000,000 60.26%
2024 3 455,651,000,000 921,838,000,000 466,187,000,000 45,271,000,000 1,224,961,000,000 38.06% 167,382,000,000 27.05%

九州旅客鉄道

九州旅客鉄道の賃貸等不動産データ (単位: 円)
帳簿価額 時価・公正価値 含み益 賃貸損益 純資産 含み益対純資産 (%) 経常利益 賃貸損益対経常利益(%)
2020 3 239,376,000,000 332,981,000,000 93,605,000,000 17,613,000,000 418,298,000,000 22.38% 50,613,000,000 34.80%
2021 3 265,056,000,000 337,230,000,000 72,174,000,000 12,920,000,000 395,408,000,000 18.25% -19,323,000,000 -
2022 3 272,775,000,000 347,989,000,000 75,214,000,000 14,387,000,000 389,024,000,000 19.33% 9,237,000,000 155.75%
2023 3 293,891,000,000 405,999,000,000 112,108,000,000 15,494,000,000 406,850,000,000 27.56% 35,700,000,000 43.40%
2024 3 350,265,000,000 505,198,000,000 154,933,000,000 17,075,000,000 442,287,000,000 35.03% 48,936,000,000 34.89%

 

 

JR九州の含み益対純資産の伸びが注目されますね。2024年3月期決算説明会資料の44ページには虎ノ門二丁目地区第一種 市街地再開発事業に関する記載もあり、首都圏をはじめとした九州外への進出も積極的に推し進めているようです。

各社とも2020年のコロナ禍の影響により2年ほど経常利益が赤字になる苦境に立たされましたが、賃貸損益は安定して黒字を確保しており、不動産を所有することにより不確実性による収益の変動リスクを幾分和らげる効果を享受している様子がうかがえます。

 

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